あけましておめでとうございます。
毎年年賀状を自作しております。年賀状発行数は右肩下がり、企業も虚礼廃止させていただきます、という世の中ですが、グラフィックデザイナーである私にとって年賀状というのはクライアントワークではないデザインをするあまりない機会なので、毎年年末にひいひい言いながら取り組んでいる。
自分はお酒とかタバコのパッケージの、ああいうソリッドでカッチリしてそして世界観があるデザインに憧れがある。またアートではソル・ルウィットやダン・フレイヴィンの無機的で、しかし堂々たる物理的存在感の作風に憧れる。
まあそこまでとは言わなくても、なんか文字と線だけで構成できないかなー、と。そして正月や干支モチーフを安易に使いたくないな、他と差別化したいな、と思っている自分がいる。
いろいろ試してみた。やっぱりいかにも正月みたいな赤は使いたくなかった。でもいくらなんでも暗すぎるな。あと全くのノーコンセプトは作ってて辛いな、筆が進まんな、とも思った。
うーん、2020か~、二千二十、ニセンニジュウか~…よし、二線二十、2つの線を20セット使おう!としょーもないダジャレコンセプトが浮かんでしまった。
用紙も迷った。ソリッドさを際立たせる塗工紙系、あえての手触り感マーメイド系、その中間…
いくつか検討して、結局NTラシャのグレーに決定(ネズミ色ということで…)。
印刷はEP印刷さんにお願いし、台湾の工場で箔押ししていただきました。

年末で工場も忙しい時期ですが、なんとかご対応いただき、届いたのがこちら。
線は銀の箔押し、文字の部分は黒の箔押しです。銀の箔押しとオフセットスミ1色のつもりでしたが、この場合黒も箔押しの方が安くなるとご提案いただき、まさかのダブル箔押しに。さりげに豪華。宛名面に一筆一筆メッセージを手書きし、毎年年賀状をやり取りしてる方を中心に送らせていただきました。(大晦日に…)
出来上がった年賀状が自分らしいのかどうかはわからないけどとても良いトレーニングになりました。自分自身のクリエイティブ・エゴというのは抑えるばかりではデザインに活力が無くなってしまうような気がします(たとえクライアントワークでも)。こうしてたまにはデザイン学生の頃のように独りよがりなデザインをしてみるのも必要かと思います。
…
大晦日に年賀状投函後、実家に帰省しました。年を越してすぐ家族で近所の神社に初詣、やはり東京に比べて星がよく見えるなあと夜空を眺めてたら一筋の明るい流れ星を見ることができました。雌伏の時を終え、今年は開花の時期にしたいと思います。
今年もよろしくお願いします!
追記:紙の専門商社、竹尾さんの見本帖本店(神保町)にて開催中の「クリエイター100人からの年賀状」展にて私の年賀状も展示していただいております。ぜひご覧ください。
https://www.takeo.co.jp/exhibition/mihoncho/detail/20200128.html