2019年読んだ本

2019年ももう終わろうとしています。早い。早すぎる。2019年になったばかりじゃないか!次は2020!?まだ2010くらいの気分だぞ!?スタンド攻撃でも受けてるのかってくらい時が過ぎるのが早い!

さて。

今年も本をなんとか50冊読むことができました。読書家とは言えない量ですが、自分にしては読んだ方です。この空虚に思える1年も、ああこんな本読んだなあ、意外と1年中身あったのかもなあ、と思い直すために今年読んだ本をいくつか抜粋で振り返りたいと思います。

 

知の逆転』吉成真由美 編

ちょっと古い本ですが(2012年)、ジャレド・ダイアモンドやノーム・チョムスキー、ジェームズ・ワトソンら各分野の賢人にインタビューした本。科学は人間の生きる意味に答えを出さない。哲学や芸術が見つける助けになってくれるのだろう。

アートは資本主義の行方を予言する』山本豊津

アートディーラーの著書。アート作品には作者の主観的な世界があることが大事だが、一方で客観的に世の中にコミュニケートするという開かれた姿勢が無いと独りよがりなものになってしまう。しかし!売ることが目的となったら作品から品格が失われてしまう。いい意味でのアマチュアリズムが根源に無いとね。

また、芸術家の社会的機能というのは“解決”することではなく、“問い”を世の中に提示することである。そのためには今の世の中を批判的にとらえる思考力、そして違和感に気づく感性が必要。

 

現代アートとは何か』小崎哲也

現代アートは「現代美術」と訳されるが、実はこの場合のアートは美術だけでなく知の術とも訳せる。現代知術。という記述がなるほどと思った。今年のあいちトリエンナーレの騒動なんかもそうだけど、現代アートが分かりづらい、意味不明と言われてしまう原因もこの美という言葉の強さによるところは大きいのかもなあ。

期待の科学』クリス・バーディック

何かに対する期待・予感がその後の体験に影響する。プラシーボ効果なんかもそんな話。プロダクトそのものに関わらないデザインはこの期待に関わるのだろうな。

 

北欧!自由気ままに子連れ旅』織田博子

大学の友人の著作。旅はあとから思い出すために行くのかもしれない。のんびりとした北欧生活に浸れた。

人はなぜ「美しい」が分かるのか』橋本治

すごい眼力。巷でよく言われる「美しい=合理性」説を見事否定してくれたのには喝采を送りたい。徒然草の作者兼好法師を美が分からない男と看破し、徒然草を分析・解説した段もホント、人文系すごいなあと。大昔の人が残した意思を現代人が解凍してくれたんだから、多少こき下ろされてもいいよね?

真っ向勝負のスローカーブ』星野伸之

120㎞のストレート、110㎞のフォーク、90㎞のスローカーブ。打者心理をよく理解して、3つの球種のジャンケン勝負に持ち込む。圧倒的な速球を持たない著者がプロで176勝した秘訣が語られる。ちなみに駆け引きが大事なピッチャーだからこそ、何も考えてないルーキーにはよくドカンと打たれていたそうだ。そういえばドカベンプロ野球編でもDH解除した松坂にホームラン打たれてましたね…

野村監督の星野伸之評が面白い。「おまえを見ているとどうもオレの理論が覆されるんだよなぁ。ケツは小さいし、メシは食わない、足が速いわけでもないし、球が遅い。遠投も70mくらいしか投げられないだろ?いったいどういうことや。まあいい。“芸術”にデータは不要や」

伝奇集』J.L.ボルヘス

ボルヘスの代表的短編集。「円環の廃墟」で入れ子状で循環的な幻想を描き、「バベルの図書館」で無限で周期的な空間を表現し、「八岐の園」で網目状の時間という概念を提示した。いずれも人間の直観と反する世界を描いているが、相対性理論や量子力学、多次元解釈など、哲学と融合し始めた現代物理学の考えに近い。

人類、宇宙に住む』ミチオ・カク

今後科学技術が進歩し、人類は宇宙に進出する。それはおそらく間違いないだろう。如何にして宇宙へ出るか、火星へ入植するか。そこには自己複製するロボットや、AI、クローン、遺伝子操作、そして不死などの今後実現が予想される技術が関係していくのだが、それらの科学的解説そして倫理的・哲学的解説が興味深い。

火星への入植は序の口とばかりに、地球外生命探査や、文明タイプの移行(カルダシェフによる文明の尺度)、ワームホール、超空間の居住、外宇宙への脱出、ついには多次元への進出…とSF好きにはたまらない話が続く。

個人的にはアルクビエレ・ドライブにワクワクした。名前がかっこいい。

なぜ生物には寿命があるのか』池田清彦

近年私が気になっているテーマ、「不死」と「不死になった人間はどう生きる?」に答える一冊。

実は元々生物には寿命は無かったらしく、今でもバクテリアや大腸菌は環境さえ整っていれば生き続けることができる。進化上の細胞が複雑になる過程(原核細胞から真核細胞へ。遺伝子数も数千から数万に増える)で細胞に寿命が設定されたらしい。複雑さを獲得するために細胞死をインプットする必要があった、と。寿命と引き換えに可能性を手に入れたのである。

ちなみに有性生殖の真の機能はDNAの修復にあり、遺伝子の交換による多様性の発生は実は副次的な産物である、という説に驚いた。

本書は超長寿社会の可能性にも言及している。平均寿命300歳とか、そういう世界である。人はどう感じる?退屈だけど死にたくない、か?突拍子もないこと書くが、私は人間は最終的には詩を読むようになるのではないか。詩で世界を記述することで自身の生を確認するのである。創造でなく、確認のために。まあ別に詩じゃなくてもいいのかもしれないが。

蒼穹の昴』浅田次郎

さすが浅田次郎。19世紀末の清朝を丹念に描きながらきっちりとエンターテインメントに仕上げる。そしてヒューマニズム溢れる内容。キャラの立て方がうまく、そこは個人的には漫画・刃牙シリーズ作者の板垣恵介に近いと思う。主人公より李鴻章がとにかくかっこいい。イギリス公使との香港租借交渉のシーンがズバッと印象に刻まれる。

文句なしに面白いし、生きる気力というのが湧く名著。

 

現代に息づく陰陽五行稲田 義行

デザインの仕事でちょっと必要があり、東洋の陰陽思想、五行などの本をいくつか読んだ。こういう古代の思想・占いってのはたしかに根拠は無いのだが、だからと言ってまったく無意味なものでもないのかなと思った。思考の手助け、今風に言えばフレームワークみたいなものなのではないか。問題を解決するにあたって、木火土金水という抽象的な象徴を持って物事を整理・分類し、そこからは各人の経験・洞察力で答えを出す。占いそのものには答えは存在しないが、答えを導くためのツールになりえるのではないか。

 

三体劉慈欣

今年話題の1冊。

三体問題という物理学の問題を初めて知った。それは相互作用(万有引力)する3つの物体の運動を正確に予測することはできない、という問題なのだが、神はサイコロを振らないはずの物理の世界において解が存在しないという絶望。それを認めない三体人、そして三体人に抗う人類。

現代物理学の様々なエッセンスが盛り込まれている。まあSFだから当然だけども。終始不穏な雰囲気で話は進む…と思いきや終盤でグッとエンタメ感を増し戸惑ってしまった。テーマがここにきて提示されたということか?三部作の序作なので当然っちゃ当然だけども、それなりにページ数の多い本でテーマが最終盤に見えてもな…。途中まで読者に問いが提示されていた気になっていたのだが…。

第2部の翻訳楽しみにしてます。

aiの遺電子 RED QUEEN』山田胡瓜 (漫画は読書数にカウントしてません。でも書きたかったので)

いやーすごかった。

「人間とは何か」が古今東西の創作物に通底するテーマだと私は思うのだが、AIや不死などのそう遠くない未来に実現されるであろう科学がその人間というものを不確かなものにする。人間としての輪郭を失う世の中。

「俺は…計算機上の情報でしかないと…?」

超AI同士の議論は見ごたえがあった。AIが“魂”という言葉を使うとは。

「限りある生」が人間なのかもしれない。過去に拠って立ち、今を生き、未来に続いていきたいと欲するのが人間なのかもしれない。

だとしたら主人公たちは…

一つ言わせてもらえば、良いキャラクターってのは勝手に作者の下を離れ、読者の心で生きるものである。この漫画の描こうとする未来、突き付けられた問いは凄まじいものがある。しかし一方でそれとは関係なくこの漫画のキャラクターたちには幸せになってほしいとも思った。

 

 

 

うん、今年もいろいろ読んだな。ヨシ!

 

来年はどんな本を読もうかな

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