2018年読んだ本を振り返る~時間と重力~

2018年もあと数時間で終わろうとしている。今年は時が過ぎるのが早かった。去年(2017年)の今頃忘年会でひどく酔いつぶれた後輩を救急車に乗せていたのがつい先日のことに思える。

今年は物理学の本を多く読んだ。と言っても文系向けの複雑な数式の出てこない本ではあるものの、物理の最先端である量子論や超弦理論に興味を持っていろいろ読み漁ったが、やはり難解、広大。とにかく人間の直感では理解できない世界なのである。

以下その中でも“時間”の理解に示唆を与えてくれた本をいくつか。

 

【図解】相対性理論と量子論』監修:佐藤勝彦 PHP研究所

シャーロック・ホームズとワトソンの会話形式で相対性理論を解説する形式で、非常にわかりやすい。入門、おさらいに是非。文中で探偵学の公理として「あり得べからざることを除去していけば、後に残ったものがいかに信じがたいことでも、それが事実に相違ない。」という言葉が登場する。この言葉はある意味物理学、ひいては科学的態度というものを言い表した言葉である。私が本書を読んでいる最中、そして他の物理関係の本を読んでいく中でも何度も思い出されていった。

相対性理論は要するに、宇宙のどこででも時間は一様に流れているという絶対時間観を否定し、時間は状況によって早く流れたり遅く流れたりするんだよ…という話なのだが、これがまず人間の直感では理解しようがない。理屈としては、小学校の算数で習った「じかん=きょり÷はやさ(はじきの法則ですね)」のうち、光の速さは秒速30万キロで固定されているんだからあとは変動できるパラメータは距離と時間だよね、だから時間も変化するんだよ、と。先述の「あり得べからざることを…」で考えればまあそうですけど…と渋々理解。

重力とは何か』著:大栗博司 幻冬舎新書

重力が強いと時間は遅くなる。空間は曲がる。意味が分からないでしょ? まず、重力がなぜ物質を引き寄せるか。それは重力が空間をゆがませて、あたかもすり鉢を転がり落ちるかのように“物体を落下させるから”である。ここまでは私もなんとか分からなくもない。空間が歪むということは光が進む距離も変わる。光の速さはどの場所でも不変であるから、先述のはじきの法則で言うと、時間・距離・速さのパラメータで速さ(光速)は不変だから距離が変われば時間も変わるでしょ、と。理屈は分かる。しかしド文系の私の感覚で言うと、重力というパワーがなぜ時間という概念?に影響するのだ!?という戸惑い・憤りがぬぐえない。ここはもう「あり得べからざることを…」というマインドで理解するしかない。ちなみに本書の説明が悪いわけではない。むしろ難解な理論を分かりやすく解説しており、多くの方に是非是非すすめたい。重力、面白いです。

 

E = mc2 世界一有名な方程式の「伝記」』著:デイヴィッド・ボダニス ハヤカワ文庫

物理の説明を交えつつ展開される人類のドラマ。はるか紀元前、古代ギリシアのデモクリトスが青い海の波が岩場に砕けると白くなる様を見て「万物は原子である」と喝破したところに始まる人類の探求心。世紀の天才アインシュタインはいかにして相対性理論にたどり着いたか。そしてその先にあるドイツとアメリカによる原爆開発競争の息詰まる様。圧巻の一冊。個人的には今年読んだ本のベスト3に入ります。時間の話はそこまで出なかったかも。

脳と時間』著:ディーン・ブオノマーノ 森北出版

そして真打登場。“時間”を物理学と神経科学(主に脳科学)で解き明かす渾身の一冊!前半は人類の進化の中でいかに人間の脳が時間というものを認識するようになったか、そして時間という概念を生み出したか、という論に費やされ、後半は物理的に時間とは何か、そして心と時間、という話が展開される。いろいろ書きたいことがありすぎて…

●「現存主義」と「永遠主義」

現存主義とは、現在のみが実在しており、過去はかつて存在した形態であり、未来は未だ来ず、不確定であるという考え方。人間の感覚ではこちらは賛成しやすいですね。永遠主義では過去と未来が現在と同等に実在している、という考え方。現存主義の考え方ではタイムマシンによる時間旅行は不可能としているが、永遠主義では可能とされ、あたかも空間のあっちとこっちを行き来するかのように、時間も空間のようなものだとされる。

●時間を表現するメタファーはなぜか空間

「あれはすっきりと“短い”コマーシャルだった」「返答をいただける日はもう“目の前”ですな」「今日の一日は“飛ぶような”速さだった」「時が“過ぎ去って”いく」。短い、目の前、飛ぶような、過ぎ去って。これらはすべて本来空間を表す言葉である。人間は空間を認識するように時間を認識しているのではないか。

その他、子供の頃はなぜ時間が過ぎるのが長く感じたのか、心的時間旅行、などなど書き出すときりがないので…興味がある方はぜひご一読ください。

 

いろいろ読んでド文系の私が思うのは、時間というものが多くの解釈ができるのも、また状況によって相対的なのも、時間というものが実体を持たない“概念”だからなのではないかと。人間は太陽の浮き沈みの繰り返し、季節の移り変わり繰り返しに“経過”を見出したが、人間のいない宇宙を想像してみて、地球が太陽の周りをぐるぐる回っているのも、原子核の周りを電子がぐるぐる回っているのも、ひとつの“現象”であり、そこには過去も未来も無いわけで…時間というパラメータの無い宇宙を想像すると案外すんなり理解できるんじゃないかなと思った。

しかし相対性理論をはじめとする…

 

 

あーあ、とか何とか書いてる間に年が明けてしまいました。今年の抱負は「約束の5分前に絶対到着するマン」になる、です!今年も宜しく!

カテゴリー:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です