渡辺良 RYO WATANABE 1936-2017

昨年逝去された画家・版画家、渡辺良氏の回顧展が本日より元麻布ギャラリーにて開催される。

氏は主に60~80年代のニューヨーク、それもソーホーというとにかく面白く刺激的なエリアで活動していた。その作品はニューヨーク近代美術館(MOMA)やホワイトハウスにもコレクションされている(こちらからMOMAの氏のページにアクセスできる。残念ながら肝心の作品イメージは掲載されていない)。またSol Lewittの助手を務め、超名門Pratt Instituteで講師もしていたと聞く。

氏の作品は日本人離れしたシャレ感が漂う。奔放に描いても濁りや奢りといった要素を感じさせない洒脱さはNY生活のせいもあるだろうが、生来のもののように思える。今回はリトグラフ代表作”Undressing woman”シリーズをはじめ油彩などの紙作品を展示し、まさに回顧展と言った彩りを見せる。私も設営を手伝ったが、ホワイトキューブ空間に作品が飾られると何というか、場がふわっと薫るような、何か空間に意味をもたらされたような感じを覚えた。

また額縁にも注目していただきたい。今回展示に使われているいくつかの額縁は氏の手製である。ミニマルだが手仕事の良さがちゃんとある。この額を越えるものを私は知らない。生前塗装の製法を聞いたことがあるが、愚かなことにメモを取ることを忘れていた。

 

 

彼は私が上京して一番最初に出来た友人だった。歳は離れていたが、先生とか先輩というのも何かしっくりこない。

彼は地方から出てきた右も左も分からない私にいろんなことを教えてくれた。まだ見ぬ世界への扉を開いてくれた。アートだけじゃなく文学や音楽、さらには酒への扉を開いてくれた。彼から説教くさい話は聞いた記憶が無く、いつも2人彼のアトリエで酒を飲みながら他愛のない話ばかりしていたが、絵を描くことを志していた私が一度「絵で大切なことって何?」と聞いた際、彼はふとまじめな顔になり、絞り出すような話し方で「本質… 本質を大事にすること」とつぶやいた。その言葉は未熟な大学生だった私の心奥に深く突き刺さり、その言葉は10数年たった今も心の中に突き刺さったままだ。あの瞬間から自分の世界を見る目と態度が変わった。本当に大事な言葉をもらったと思っている。

まあ彼との思い出は尽きることが無いが、あまりさらけ出し過ぎるのもなんだかかっこわるい。ここらでやめておこう。

 

渡辺 良

RYO WATANABE 1936-2017

2018年9月14日(金)-20日(木)

12時-18時

元麻布ギャラリー(最寄り:麻布十番駅)

ぜひお越しください。

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