上海・張慈中書籍装幀設計芸術館

中国の書籍装幀デザイン第一人者、張慈中。戦後の新中国成立以降半世紀以上活躍している御仁である。国家の出版物のデザインを多く手掛けており、中華人民共和国憲法や毛沢東選集、党の機関紙『紅旗』なども彼の仕事である。日本のデザインもそうだが、こういう黎明期のデザインは人の手触りが感じられて、どこか懐かしかったりする。

張慈中は1924年上海・楓涇古鎮生まれ。楓涇古鎮の中にこの『張慈中書籍装幀設計芸術館』が建てられたのは2016年の頃、その当時の記事によると本人はご存命とのことでずいぶん長命な方であり、長らく中国のデザインとその発展を見てこられたのだろうなあ、と思う。

館内の解説を読むと元々上海や杭州で広告デザインの仕事をしていたそうで、上海広告デザイン界の“四小龍”の一人と称されたそうだ(この通り名のセンスたまらないですね)。その後広告デザイナーから書籍装幀家へと転向し、北京市の文化委員会主任を務めるなどしながら、わりあい国家的・公的な仕事を多く手掛けてきたそうだ。

中華人民共和国憲法の装幀を1954年に手掛け、その時用いた自作の長宋体が中華字体庫(書体を収めた辞典みたいなもの?)に収録され広く使用されるなど、現代中国の文化に与えた影響は大きい。

 

とまあこんな感じで、デザイナーの私としてはとても興味深く観ることができ、思いの外時間を使ってしまった。

話は変わるが、中国に来た際はぜひ本屋に寄ってみてほしい。中国語が読めなくとも、日本とはまた違った装幀デザインに目を奪われることだろう。ディテールや品質、マーケティング意識などは日本のデザインの方が断然良い。しかし元気さというか、自由さ、彩りの幅広さなどは中国のデザイン、見ていて実に楽しい。

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